企業型DC(企業型確定拠出年金)っていつ現金化できるの?今更聞けない企業型確定拠出年金の基本

社会人になって目にする「企業型DC(企業型確定拠出年金)」
何が何だかわからないまま、人に言われたまま、自分で調べずに適当に選んでませんか?
それはとてももったいないです。
今回は「企業型DC(企業型確定拠出年金)」の基本や、会社を辞めた時はどうなるのか、いつ企業型DC(企業型確定拠出年金)を現金化できるのか、企業型確定拠出年金の基本について簡潔にまとめました。

1.企業型DC(企業型確定拠出年金)って何?

「企業型DC(企業型確定拠出年金)」とは、企業が掛金を毎月積み立て、従業員が自ら年金資産の運用を行う制度です。 企業型DCは、従業員が自動的に加入する場合と、企業型DCに加入できるかどうかを選択できる場合(選択型企業DC)があります。
企業型DCの場合、会社が拠出する掛金や手数料は会社側の負担になります。従業員が拠出する掛金(マッチング拠出)については給与から天引きされます。
同じ確定拠出年金でもiDeCoの場合、積み立て口座の加入や運用にかかる手数料は全額加入者負担です。 企業型DCでは、これらの口座管理手数料は企業側が負担します。つまり、企業型DCとは福利厚生の一種です。
拠出金額は、月額55,000円。その他の企業年金に加入している場合、月額27,500円です。
加入事業所の取扱いにより異なります。厚生年金被保険者となった年齢から原則70歳まで積み立てることができます。

従業員が自動的に加入する場合とは

前述の通り企業型DCというのは、勤務先の会社が従業員であるあなたに提供する福利厚生です。そのため、企業型DCを導入している企業の従業員は、原則として自動的に企業型DCに加入します。

選択型企業DC

選択制とは、企業型DCに加入するか加入しないかを従業員が選択できる制度です。加入する場合は従業員自身の給与の一部を掛金とすることにより、従業員にとって社会保険料等の軽減効果があります。加入しない場合は本来の給与としての扱いとなります。
つまり、「運用するか」「現金でもらえるか」を選択できるということです。
上乗せは一見「手取りが増える!」とメリットを感じますがもし、給与への上乗せとして受け取ると、上乗せ分は給与になりますので、税金や社会保険料がそこから差し引かれるというデメリットに注意しなければいけません。

マッチング拠出制度とは?

企業年金でありながら、加入者も掛金を拠出し、退職後の資産形成を図れる新たな任意の制度です。加入者は会社掛金と同額まで、かつ合算して拠出限度額まで掛金を拠出できます。 最大のメリットは加入者の掛金の全額が所得控除の対象となることです。マッチング拠出制度を利用することで所得税・住民税が軽減されます。
メリットが多いマッチング拠出制度ですが、掛金の変更は年に1回のみです。 拠出金額が多すぎたかもと、家計が大変になったからといってすぐには変更できません。生活のストレスにならない金額を拠出しましょう。

DCってなんの略?

Defined Contributionの略です
「拠出額が決められている」=「Defined Contribution」です。
そのことから確定拠出年金はDCと呼ばれています。

2.企業型DCって何を選べばいいの?

会社の委託を受けた運営管理機関が選定した運用商品から選択できます。
運用商品には、「元本確保型」と「価格変動型」の商品があるのが一般的です。

元本確保型とは

文字通り、積み立てた元本が確保されるタイプをいい、具体的な商品として「定期預金」と「保険」があります。元本割れのリスクが少ないというメリットがありますが、現在の低金利の状況だと将来の生活に必要な年金資産を増やせません。
また、定期預金にしたとして、20年後、30年後物価が上昇すると、預けているお金の価値が目減りし、金額的な意味での元本割れはしなくても、価値が下がるといった意味での資産の目減りを留意する必要があります。
また、保険商品については満期を迎えず運用商品の変更(スイッチング)をした場合、解約控除金が差し引かれます。お金の価値の目減りや解約解除金が発生してしまうと折角の企業型DCのメリットがなくなってしまいます。

価格変動型とは

価格変動型は積み立てた元本が運用によって変動するタイプです。
おすすめなのは「S&P500」や「全世界株」などの投資信託です。
しかしながら、どの投資信託を見てもピンとこない場合もあると思います。
運用成績に応じて値上がりして資産が増えることもありますが、現金に変えられるタイミングで値下がりして資産が減ってしまうかもしれないというデメリットがあります。良い機会ですので、「先輩や上司がこれを選んでるから」となんとなく決めないで、その投資信託が「何を対象に運用されているのか」ということを確認しておきましょう。

3.企業型DCって途中で変更できるの?

企業型DCで運用する際、運用商品ラインナップの中であれば、前述の「元本確保型」でも「価格変動型」でも、どの商品でも自由に選べます。掛金額の上限内で、複数の運用商品を選択できますし、運用割合も自分で決定できます。
定期預金に50%、投資信託に50%、と選んだとしても、その運用商品や割合については見直すことや変更ができます。
むしろ変更を念頭に始めて、しっかりと勉強し、ご自身のリスク許容範囲について考えることをおすすめします。

4.企業型DCってどうやって終わるの?

企業型確定拠出年金の加入者は、退職日の翌日に加入者資格を失います。
会社の福利厚生なので会社を辞めたら終わりです。
しかし、企業DCを辞めたからといって現金が即が手に入るわけではありません。
退職日が属する月の翌月から数えて、6カ月以内に転職先の企業型確定拠出年金やiDeCoに移換手続きをしなければ、資金が国民年金基金連合会へと「自動移換」されます。自動変換されると最悪です。現金の状態で管理され、運用のできません。
しかも管理手数料が差し引かれます。また自動移換中は老齢給付金を受け取るための加入者期間に算入されないため、受給開始の時期が遅くなる可能性も出てきます。自動になるから楽かなと勘違いしないで絶対放置しないでください。

5.企業型DCっていつ現金化できるの?

それでは、いったい企業型DCはいつ現金化できるのでしょうか?
企業型DCで運用した資産は、60歳以降に年金や一時金として受け取ることができます。
企業型DCはあくまでも定年後の老後資金なんです。 原則、60歳になるまでは途中で現金化できないので注意が必要です。
若くて、今まさにお金が必要な方にはまどろっこしく感じますが、20代から40代なんてあっという間です。40代から60代なんてもっと早く時が流れるでしょう。
年を取れば、お金を稼ぐ力はどうしたって若者と比べて弱くなります。
企業型DCというメリットを有意義に使って老後の備えを作りましょう。

6.企業型確定拠出年金って受け取る時に税金は発生するの?

非課税です。
非課税で運用できること。
これが企業型DCの最大のメリットです。
個人で運用する場合、預貯金の利息や投資信託の分配金・譲渡益には現在やく20%もの税金がかかり、別途手数料も発生しますが、企業型DCの中でなら同じ運用をしても税金と手数料がかかりません。
また、企業型DCの事業主掛金は、給与とみなされず、掛金に対する所得税・住民税の課税はありません。 また、社会保険料の対象にもなりません。
福利厚生というという言葉を使うと、なんとなくスルーしがちですが、企業型DCはかなりの優遇税制です。

まとめ

・企業型DC(企業型確定拠出年金)は会社の福利厚生
・「企業型DC」とは、企業が掛金を毎月積み立て、従業員が自ら年金資産の運用を行う制度。
・原則60歳まで現金化できない。
・非課税で運用できる。
・仕事を辞めたら、6カ月以内に転職先の企業型確定拠出年金やiDeCoに移換手続きをしなければ、資金が国民年金基金連合会へ「自動移換」されるから注意。転職先の企業型確定拠出年金かiDeCoに必ず振り替えましょう。

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