賃上げで感じるメリット&デメリット

おめでとうございます!各企業で賃上げが行われていますね。
「20年間給料が上がらない」
「先進国なのに低賃金で有名」
など、ネガティブな意見しかなかった日本人の給料。
しかし最近は、2023年3月にはユニクロを経営するアパレル大手のファーストリテイリングが国内従業員の年収を最大40%割引き上げると発表し、産業界に賃上げムードが漂っています。
さて、今年の春から賃上げになった方、今年の9月の給料明細を見て「おやっ!」と感じるかもしれません。賃上げにより社会保険料がUPし、手取りが減ったように感じる方がいる可能性があります。
そこで今回は賃上げによる「メリット」と「一見デメリットに感じる」点について深掘りしていこうと思います。
また今回のお話は「標準報酬月額」についての基礎知識が大切になりますので、最初に「標準報酬月額」についておさらいしていきましょう!

1.標準報酬月額とは

毎月の健康保険や介護保険、厚生年金保険などの金額を算出する際に標準となる給料の平均値です。
標準報酬月額は、所属している会社から提出される届出に基づき、日本年金機構が決定します。また、標準報酬月額の決まり方には次の4つのパターンがあります。

定時決定

4月〜6月に受けた報酬総額を3で割った額を標準報酬月額とし、その年の9月から1年間適用します。なのでこの4月〜6月時期に残業などが多く、報酬総額が多いとその年の9月からの社会保険料がUPします。会社勤めの方の標準報酬月額の決まり方のパターンとして一般的です。

資格取得時

入社日時点の報酬を月額に換算した額が基準となります。
1月から5月末までに入社した場合はその年の8月まで、6月から12月末までに入社した場合は翌年の8月まで適応されます。

随時改定

人事異動などで給与額が大幅に変動すると標準報酬月額が変わります。固定給が変動し、その後3ヶ月間の給料の総額を3で割った額が、定時改定で決定した時と比べ、標準報酬月額の等級で2等級以上の差が発生した際には、次の定時改定を待たずに標準報酬月額が変更されます。その年の9月から翌年の8月までの標準報酬月額となります。

育児休業終了後

育児休業後、時短勤務などで従来の標準報酬月額との差が生じた場合で、事業主を経由して申し出ることで標準報酬月額が改定されます。その際に随時改定に当てはまる場合は随時改定が適用されます。

2.賃上げのメリット

会社で働くことが楽しくなる

賃上げは、優秀な人材の確保や、優秀な人材の定着率の向上、また、横領などの犯罪行為やコンプライアンス違反の低下などさまざまなメリットがあります。
単純に給与が上がったため、その会社で働くこと自体に魅力が増し、その生活を失う可能性を高める犯罪行為に手を染める可能性が減ります。

厚生年金と傷病手当の受取額のUP

標準報酬月額の増加により将来の厚生年金の受け取りや傷病手当の受取額がUPします。現在の給与が上がることによって、未来の生活や怪我や病気で働けなくなった際の保障が手厚くなります。

3.賃上げのデメリットは?

社会保険料のUP

お給料が上がってなんのデメリットがあるの?と思う方が大半だと思いますが、給料が上がると、社会保険料の負担が上がります。
標準報酬月額は厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料、介護保険料の算定基準です。標準報酬月額が上がると、すべての保険料が上がります。
今年の4月〜6月に賃上げの対象になった方は9月から、賃上げ後の標準報酬月額が適応されますので、9月の給料明細を見て、収入は増えたけれど手取り額は減ってしまったという方もでてくるでしょう。ただし、将来的に年金がもらえる額が増えますのでこちらはデメリットと言い切れません。

高額療養費の自己負担額のUP

健康保険にある高額療養費の制度は、その月に支払う医療費が年齢および所得によって決められた自己負担額を超えた場合に、その超えた部分を還付してもらえる非常にありがたい制度です。そしてこの自己負担額の算定にも標準報酬月額が関係しています。単純に標準報酬月額が増加すると、還付される金額がへり、自己負担額がUPします

まとめ

標準報酬月額が上がると、社会保険料の負担や高額療養費の自己負担額がUPなど、一見デメリットに感じるポイントがあります。
しかしながら、単純に給与が上がるのは仕事にやりがいがでますし、嬉しいことですよね。また、デメリットに感じる点も将来的に受け取る厚生年金や、怪我や病気で働けなくなった時の傷病手当の受取額のUPにつながります。
9月に給与明細を見て「手取りが減った」と驚かずに、冷静に明細を見てくださいね。

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