アート投資について考えてみた

日本には美術館が約1,000箇所以上あります。
2020年の東京の国立西洋美術館は、コロナの感染拡大の影響による臨時休館や建物のメンテナンスのために10月中旬から長期休館に入ったなどの理由から年間の開館日は少ない状態でした。しかし年間来館者数は60万人を超えていました。
美大進学者も多く2021年の東京藝術大学の美術学部の進学志望数は2,523人です。
日本は絵を鑑賞する事が好きな人や絵を描くことを生業にしたい人がたくさんいる国だと感じます。
ところで、あなたの周りには10万円の絵画を買う人はいますか?
10万円の時計を買う人がいても10万円の絵画を買う人は少ないのではと思います。
バスキアなどの現代アートのビックネームの作品を購入するのも有名企業の名物社長だったり、絵画の購入って縁遠い感じがします。
ましては投資目的で購入するのは別世界の印象があります。
しかし、世界的な規模で見ると現代アート(コンテンポラリーアート)への投資は加熱しています。
アート投資について考えながら「自分がコレクター」なるという可能性について考えを巡らせてみましょう。

アートの市場規模とマーケットシェア

アート・バーゼルとUBSが2020年の世界美術品市場を分析するレポート「The Art Basel and UBS Global Art Market Report 2021」によると2020年の市場規模は約5兆4720万円でした。

2020年の市場規模国別マーケットシェア

ASSETS PLUS

日本は美術館も多く美術を学ぶ人の多い美術先進国でありながら「買う人」が少ないのが現実です。
その反対に最近はお隣の国、中国での現代アート投資熱が加熱しています。
実際、日本の有名な芸術家も日本で開催された企画展を中国や台湾で巡回やサテライト展示を行っています。

塩谷千春

 

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2019年東京の森美術館で開催された大規模な展覧会「塩田千春展 : 魂がふるえる」
台湾や上海での巡回が決まっています。

2021年5月1日ー10月17日
台北市立美術館 (台湾)

2021年12月18日ー2022年3月6日
龍美術館(中国 上海)

 

小松美和

 

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狛犬や獅子、龍や麒麟などの神獣をモチーフにした芸術家。
非常に美しい容貌も注目されている画家ですが、画家が美人である事を凌駕するほど魂が込められた力強い作品は一度見たら忘れられません。
2017年に台湾で開催された個展の作品は全て完売。
その売上金額は約1億840万円。
草間彌生、村上隆、奈良美智に次ぐ新世代のアーティストとして注目を集めています。

佐藤可士和

2021年2月から4月末まで東京の国立新美術館で開催されていたは佐藤可士和展は同時期に上海でサテライト展示が行われていました。

 

日本の画家やアーティストの作品が海外で注目されるのはとても喜ばしい事ですが、
貴重な作品が海外に流出する可能性があるというのは悩ましくもあります。

なぜアート購入は敷居が高いのか

リスク管理

偽物リスク

真贋の判定は難しく購入した作品が偽物だった場合もあり得ます。
証明書がついていても、その証明書自体が偽物の可能性があります。
国立西洋美術館の保管倉庫に眠るラウル・デュフィ「アンジュ湾」とアンドレ・ドラン「ロンドン橋」の2作品は贋作の可能性が高く展示されていません。
事件が起きたのは1965年。
以前から業界では曰く付きと噂が高いフランス人画商フェルナン・ルグロに西洋美術館がまんまと騙されました。
贋作購入事件は当時の国会でも取り上げられ大問題になりました。

破損リスク

災害や事故などによる衝撃や火災で破損する可能性もあります。
過去には1920年にスイスから当時の金額で約2万円で購入された日本の実業家が購入した「芦屋のひまわり」と言われるゴッホの「ひまわり」は第二次世界大戦の芦屋大空襲で焼失しました。
空襲時に他の画家の作品は壁に掛けてあっただけだったので簡単に移動ができ消失を免れましたが「芦屋のひまわり」は壁に固定されており移動が間に合いませんでした。
現在なら時価数十億にはなるだろうと言われています。お金の事以上に歴史的に価値が高い作品の消失は本当悔やまれます。

盗難リスク

現物を保有する場合、一定の盗難リスクがあります。
実際にオランダのラーレンとリールダムにある美術館からそれぞれゴッホの作品が盗まれるなど、警備が厳しいはずの海外の美術館で盗難事件が発生しています。

ゴッホの作品は燃えてしまったり盗まれたり、ほんと苦難の連続ですね。

管理リスク

美術作品の管理リスクは難しく、光、湿度、温度、虫、カビなどいろいろと気をつけなければいけません。
日本国内ですと寺田倉庫で厳しい室温管理が保証される保管サービスがあります。
作品の輸送や修復、保険など美術品に関わるサービスを全て受けられます。
美術品1点から利用できるのでとても便利です。



どこで買ったらいいかわからない

 

オークション

 

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ニュースでは億単位でのという落札価格が報道されがちなので敷居の高さを感じますが、数万円から数十万円で落札される作品もあります。
過去のSBI Art Auctionの現代アートのオークションでは塩田千春のリトグラス作品が40万代で落札されてました。

【オークションサイト】

Sotheby’s

SBI Art Auction

Shinwa Auction



画廊

画廊とは美術品を展示するギャラリーのことで、実物を見て購入できるというメリットがあります。

また、画廊に足を運ぶことでまだ無名の若手アーティストの作品に出会うこともできます。
過去の個展ですが ヴァニラ画廊では2021年2月6 日から3月4日 まで光宗薫個展「メロンタ・タウタ」が開催されました。
日時指定の有料チケット制での入場で開催された個展でしたが展示された作品はほぼ完売となりました。
光宗薫さんは元アイドルや女優としての一面に脚光が当たりがちですが、素晴らしい才能をもった画家だと感じています。

レンタルサービスから購入もできる(寺田倉庫・Casie)

寺田倉庫

 

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先ほど絵画の購入で紹介した寺田倉庫ですが、絵のレンタルサービスや購入のサービスも行われています。
また寺田倉庫は天王洲アイルをアートエリアとして開発しています。
その中でWHAT CAFEでは現代アートの若手作家の作品が展示しており、実際に購入もできます。
作品を購入しなくてもおしゃれな空間で食事をお茶を楽しめます。
美術館よりずっと身近に作品と鑑賞できますし、画廊に滞在する時のような精神的なプレッシャーがありません。
幅広い範囲での現役作家作品との出会いが期待されます。
現代アートに興味がある方はまずは気楽にお出かけしてはいかがでしょうか。

Casié

 

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Casiéでは現役の現代アート作家の作品をサブスクでレンタルできます。
気に入った作品を購入することができます。

オーナー権の取得や共同保有

ANDART

ANDARTでは草間彌生やバンクシーなどビッグネームの現代アート作家の作品のオーナー権の一部を1万円から購入することができます。
1口馬主の制度と類似していますね。
購入した作品はオンラインコレクションとして鑑賞することが可能です。
オーナー権は売却することもできます。
アートの価値が上がれば、オーナー権の利益を得ることも期待されます。
※オーナー権は作品の保有権ではありません。保有権は全てANDARTに帰属します。

会員登録費:無料
年会費:無料
購入手数料:購入金額の10%
straym

 

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straymでは100円から現代アートの共同保有ができるサービスです。
バンクシー、カウズ、アンディ・ウォーホールなど世界的に有名で既に評価が安定しているアーティストから新鋭のアーティスト作品を扱っています。すべてのアートの公開価格は1枠100円です。
保有権は売却もできますが、一人のオーナーが一つの作品に対して作品保有率が80%以上となると、オーナーの判断で残りの保有権に対して、売却注文の有無に関わらず、30%のプレミアをつけた価格にて、全ての保有権を買い取る制度があります。全ての保有権を買い取った場合には現物作品を受け取ることができます。

入会金:無料
年会費:無料
取引手数料:売買価格の5%。

まとめ

個人的にはアート投資は保管が難しいですし、保険料もかかりますので投資としては正直二の足を踏みます。
オーナー権取得や共同保有も趣味や遊びの一環でやるなら面白いとは思いますが、投資として本気で向き合うことはできません。
その分の資金を投資信託でS&P500や全世界株に投資したいです。
ただ、レンタルサービスを利用する中で生活の中で普通に美術作品に触れ合い、気に入った作品を購入するのはとても素敵なことだと思います。
アートエリアとして開発された天王洲アイルに遊びに行って寺田倉庫系列のお店で現在アートについての素養を深め、気に入った作品があれば趣味として購入したいです。
しかし気に入って購入して大切に飾っていた絵に将来価値が出たら、簡単に手放せるのかなとも思います。
それを考えると「好き」と「投資」は切り離して考えるべきなのかもしれません。

 

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