教育資金贈与の正式名称は「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」です。
2021年度時点でこの制度は2023年3月31日が期限となっています。
直系尊属(曾祖父母・祖父母・父母)が30才未満のひ孫・孫・子に教育資金として財産を贈与した場合1500万円までは贈与税が非課税になる制度です。
贈与税は1人の人がその年の1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。
したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税は非課税で申告も不要です。
では教育資金贈与では手続きは必要でしょうか?
必要であるならどのような手続きをすれば良いのでしょうか?
教育資金贈与の手続きについて深掘りしていきましょう。
教育資金贈与では手続きは必要か?
出典:photo AC
手続きが必要となります。
手続きをしなければ課税対象となります。
教育資金贈与の手続き
教育資金口座の取り扱いのある銀行や信託銀行、証券会社で口座開設が必要です。
口座開設
ざっくりこれだけ覚えよう!
口座開設は贈与を受ける方一人当たり1金融機関、1営業所となります。
複数の金融機関で口座開設はできません。
金融機関によっては口座開設料や口座管理手数料などがかかります。
金融口座によってはお金の引出しの手続きが窓口のみのところと郵送やネットで対応しているところなどさまざまです。
最長30年間取引が続きます。
転居や進学タイミングで口座開設をした金融機関とお住まいの住所が遠く離れる可能性もあります。
使い勝手の良く手数料がかからない金融機関を選択する必要があります。
1500万円以下なら1人の受贈者の口座に複数の贈与者の申し込みが可能
例えば子どもや孫1人あたり合計1,500万円までの契約であれば複数の祖父母、親より教育資金贈与が可能です。
教育資金の範囲
ざっくりこれだけ覚えよう!
学校関係は1,500万円まで非課税 塾は500万円まで非課税
教育資金は学校や塾等に対して直接支払われる費用を指します。
学校関係の費用の上限は1500万円までが非課税です。
塾関係の費用は上限は500万円までです。
例1入学金,授業料,入園料,保育料,施設設備費又は入学(園)試験の検定料など。 例2学用品費,修学旅行費,学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など。海外留学の渡航費も範囲に含まれます。
払出方法
払出ができる人
本人(本人の親権者)
払出に必要な手続き
パターン1
教育機関に支払った後に領収書や明細書を口座を開設した金融機関に提出して、教育資金を指定の口座に振り込みます。
領収書の発行から1年以内の手続きが必要です。
パターン2
請求書を口座を開設した金融機関し教育機関に支払いする前に払い出しをします。
教育機関に費用を支払った年の翌年の3月15日までに領収書の提出が必要です。
パターン3
金融機関によってはアプリやサイトでネットバンキングを利用した払い出しが可能です。
30才まで使いきれなかった場合
教育資金贈与を30才で使い切れなかった場合
の選択肢は以下の2つです。
1贈与者に返却する 2受贈者が受け取る
受贈者が受け取る場合は贈与額から110万円を差し引いた金額が贈与税の課税対象とならます。
教育資金贈与は特例贈与財産に該当します。
以下の税率早見表をご参考ください。
基礎控除後の課税価格
基礎控除後の課税価格 | 特例税率 | 控除額 | ||
200万円以下 | 10% | - | ||
200万円超~300万円以下 | 15% | 10万円 | ||
300万円超~400万円以下 | ||||
400万円超~600万円以下 | 20% | 30万円 | ||
600万円超~1,000万円以下 | 30% | 90万円 | ||
1,000万円超~1,500万円以下 | 40% | 190万円 | ||
1,500万円超~3,000万円以下 | 45% | 265万円 | ||
3,000万円超~4,500万円以下 | 50% | 415万円 | ||
4,500万円超~ | 55% | 640万円 |
参照:財務省HP
30才の誕生日を迎え教育資金口座に500万円が残り贈与を受ける場合以下の
計算式が適応されます。
(贈与を受けた財産の価額-基礎控除額)×税率-控除額=税額 (500万円ー110万円)×15%ー10万円=48万5千円
なんと48万5千円もの贈与税が発生します。
教育資金は30才までに有効的に活用しなければいけませんね。
まとめ
教育資金贈与の制度は大切な財産を子ども、孫、ひ孫に非課税で教育のために役立てもらうことのできる優れた制度です。
ぜひ活用してください。