働いている会社の福利厚生には「社内預金制度」はありますか?
あるなら迷わず活用しましょう!
今回は「社内預金制度」のメリットとデメリットについて深掘りしていきます。
「迷わず活用しましょう!とか言ったのに、デメリットあるの?」
と驚かれると思いますが、社内預金制度の性質上、どうしてもリスクとして把握しておかない部分がありますので、そちらについてお話しします。
社内預金制度とは
社内預金制度とは会社と従業員の合意のもと、給与から預金額を天引きして貯蓄していく制度です。
会社側は運営資金を簡単に確保できるメリットがあり、従業員にとっては高い金利で貯蓄ができるというメリットがあります。
会社が立場を利用して従業員の給料を搾取しないよう、法律で「下限金利」が定められています。その下限金利は令和3年度の今でもなんと0.5%です。メガバンクの普通預金の金利が0.001%であることを考えると最低0.5%の金利が保証されているのは本当に恵まれています。もし会社に社内預金制度があるならぜひ利用しましょう。
参照:厚生労働省HP
社内預金制度のメリット
出典:photo AC
社内預金制度は法律で守られています。
会社は以下の義務を負います。
・貯蓄金の管理規定を定めて、労働者に周知するために作業場に備え付けなければいけません。 ・下限金利0.5%を下回ってはいけません(令和3年度) ・従業員から返還を請求されたらすぐに返還しなければいけません。 ・毎年3月31日現在の預金額に同日後1年間を通じて保全措置を講じなければいけません ・毎年3月31日以前1年間における預金管理状況を4月30日までに所轄の労働基準監督署長に報告しなければいけません。
参照:厚生労働省HP
金利や保全の他に周知や報告の義務を負うということです。
従業員目線でのメリットを簡単にまとめると「高金利で預けて、いつでも好きなタイミングで出金や解約が可能!」ということです。
しかし、実際は実務的な手続きや出金に必要な時間があると思いますので、出金や解約の手続きについてはご自身の働く会社の担当の方にお問い合わせください。
社内預金制度のデメリット
出典:photo AC
制度廃止の可能性
社内預金制度は今では導入する企業が少なく、制度が廃止される可能性があります。
最新の労働基準監督年報のデータを見てみましょう。
1990年:導入企業数40,445社、利用者数307万人、預金金額32,027億円 2020年:導入企業数13,574社、利用者数53.4万人、預金金額8,909億円
あからさまに減少しています。
社内預金制度は廃止され、財形貯蓄制度に切り替わる企業が多いのが現状です。
倒産したら、社内預金が戻ってこない可能性がある
社内預金の保全措置は法律で義務化されていますが、保全措置を講じていないまま倒産した場合、全額返ってこないリスクがあります。
銀行は預金保険制度によって1,000万円まで保護されます。
しかし会社は金融機関ではないので、預金保険制度を利用できません。
しかも、未払いの給与や賞与は民法308条で「先取特権」が認められているので優先的に支払われますが、社内預金は「合意のもと任意で会社に貸しているお金」という扱いなので優先順位が低くなります。
とは言っても、法律で定められている預金の保全措置を講じているなら、全額返ってきます。例えば金融機関との保証契約があれば、会社が倒産しても金融機関から弁済金を受け取れます。
社内預金はあくまでも「銀行に預けているお金ではない」ということを心の片隅に置いておいてください。
預けられる金額と利率に上限がある
企業によっては社内預金の預金額と利率に上限があります。
例えば、金利1%は上限額300万円、金利0.5%は上限額700万円などです。
会社が定めた上限に達するとそれ以上は預けることができませんが、リスクの分散になるのである意味良いのかもしれません。
状況によっては確定申告が必要
社内預金の利息は「雑所得」です。
課税対象となるため、会社側で源泉徴収を行ってくれなければ、自分で確定申告を行う必要があります。
会社側で源泉徴収されるか確認しましょう。
「普通の銀行の利息は?」と心配な方もいらっしゃるかもしれませんが、銀行の利息は「利子所得」でまた別物なんです。普通預金や定期預金の利息にかかる所得税は勝手に引かれてますので、自分で申告する必要はありません。
まとめ
社内預金制度がある会社にお勤めの方はぜひ社内預金制度を活用しましょう。
「いつでも引き出せて、金利が最低0.5%」という最高のシステムです。
世の中には、知らないと損をする国の制度や会社の福利厚生がたくさんあります。
ぜひ一度見直して、お得な制度があったら最大限に活用してください!
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