海外療養費制度やクレジットカードがあれば海外赴任中に海外旅行保険はいらない?

海外赴任や留学、旅行などで海外に滞在する時に心配なのはケガや病気をした時です。
見知らぬ土地で言葉の問題やどこの病院に行ったらいいかもわからないですよね。
そして1番心配なのは治療費です。
旅行前に備えて海外旅行保険に加入すれば安心ですが、それ以外にも海外療養費制度やお手持ちのクレジットカードに付帯されている海外旅行保険があります。
①海外療養費制度とは何か?
②クレジットカードに付帯されている海外旅行保険の内容はどれぐらい充実しているのか?
③海外旅行保険の費用はどれぐらいなのか?
これら3つのポイントに注目して分析してきたいと思います。

①海外療養費制度とは?

海外療養費制度

海外療養費制度とは海外に滞在中に急な病気や怪我の治療のため現地の医療機関で診療を受けた場合、申請により医療費が一部払い戻される制度です。

海外療養費制度の対象者

国民健康保険被保険者と健康保険被保険者

給付の範囲

その治療が日本国内での保険診療として認められた治療。

給付が認められない治療

・保険のきかない診療、差額ベッド代
・ 美容整形
・ 高価な歯科材料や歯列矯正
・治療(療養)を目的に海外へ行き治療を受けた場合
・臓器移植(心臓や肺の移植)や人工授精等の不妊治療、性転換手術等
・交通事故やけんかなど第三者行為や不法行為に起因する病気・けが

払い戻し額

海外療養費は日本で医療を受けた場合の診療報酬点数に換算され算定されます。

・算定した金額が海外で支払った金額を下回る場合には、算定した額から自己負担分(原則3割)を控除した額が払い戻されます。
・算定した金額が海外支払った金額を上回る場合には、実際に支払った額から自己負担分(原則3割)を控除した額が払い戻されます。
仮に医療費の高いアメリカで100万円の手術を受けた場合、同じ手術が日本では10万円だった場合、払い戻し額は自己負担分(原則3割)の3万円を引いた7万円です。

海外療養費の申請方法

海外の医療機関の窓口で医療費全額を支払います。
海外の医療機関で「診療内容明細書」と医療費の「領収明細書」を受け取ります。
「療養費支給申請書」と日本語の翻訳文を添付した「診療内容明細書」「領収明細書」を加入する健保組合などの保険者に提出します。

海外療養費制度だけだと不安

海外療養費制度を利用する予定で海外の病院で診察や治療を受けた場合診察後にまとまった金額を支払わなければいけません。
例えば盲腸の手術をアメリカのニューヨークで受けて1〜3泊入院すると費用は平均約152万~440万円かかると言われています。
日本だと盲腸の手術は約1週間の入院で約30万円。
その場合、現地での支払いのために最大約440万円分のドルを用意しなければいけませんし、海外療養制度を申請し払い出された金額も約21万円です。
負担額が大きいですし現実的ではありません。
更に海外でこそリスクの高い「交通事故やけんかなど第三者行為や不法行為に起因する病気・けが」に対して給付が認められないのも心許なく感じます。

②クレジットカードに付帯されている海外旅行保険の内容は?

出典:photo AC

クレジットカードには海外旅行保険が自動付帯や利用付帯と条件付きのタイプがあります。
海外旅行保険の内容が充実していると評判のエポスカードと会員数2,100万人を超えている楽天カードの付帯内容を比較してみましょう。

 

エボスカード(一般)自動付帯 楽天カード(一般)利用付帯

(募集型企画旅行の決済)

傷害死亡・後遺障害 最高500万円 2,000万円(最高額)
傷害治療費用 200万円(1事故の限度額) 200万円(1事故の限度額)
疾病治療費用 270万円(1疾病の限度額) 200万円(1事故の限度額)
賠償責任(免責なし) 2,000万円(1事故の限度額) 2,000万円(1事故の限度額)
救援者費用 100万円(1旅行・保険期間中の限度額) 200万円(年間限度額)
携行品損害(免責3,000円) 20万円(1旅行・保険期間中の限度額) 20万円(年間限度額)
保証対象期間 出国日から90日以内の旅行期間 出発日から3カ月後の午後12時(24時)までの旅行期間

引受保険会社

三井住友海上火災保険株式会社

楽天損保

エポスカードは自動付帯です。持っているだけで海外旅行保険が付帯されます。
一方で楽天カードは旅行代理店で予約した海外パックツアーなどの決済で楽天カードを利用した時のみ保険が付帯されます。付帯への条件が限定されています。
この様にクレジットカードに海外旅行保険が付帯されていても自動付帯や利用付帯などカードのよって条件があります。
保証対象期間は出国日から帰国日まで最長90日ですが、カードによっては60日間など短い場合もあります。お手持ちのクレジットカードの条件を確認しましょう。
また複数のクレジットカードを持っている場合はそれぞれの保険から按分して保険金が支払われます。

ご利用カードの海外旅行保険の情報をすぐ見れる形で準備しましょう

クレジットカード各社のHPに海外旅行保険の内容やサービスセンターの情報がまとめられた資料があります。海外旅行の際には携帯端末やパソコンに資料をダウンロードしたり、実際にプリントアウトして荷物に入れて備えましょう。病院に行きたい時にはサービスセンターに電話をすればキャッシュレスメディケーションを提携している病院を日本語で紹介してくれます。非常時に慌てないように余裕がある時に資料に目を通して内容を把握しましょう。

長期海外駐在や長期留学には活用できない

前述した通りクレジットカードに付帯されている海外旅行保険の有効期限は出国した日から最大90日間。
そのため90日以上の留学や赴任には対応できません。
90日以上の滞在の方は海外旅行保険に加入することをお勧めします。

③海外旅行保険の費用はどれぐらいなのか?

出典:photo AC

日本にいれば治安もよく、水も綺麗で食中毒のリスクも低いです。
公的保険制度も充実していて民間保険に加入していなくても十分に保証されます。
しかし外国は全く状況が変わります。日本と同じ感覚でいるのは危険です。
病気やケガ、盗難や事故といった思わぬアクシデントが起こる可能性があります。
海外旅行保険に加入してしっかり備えることが大切です。医療費の高い北米エリアに1年間滞在する場合、その保険料は各社17万〜70万円の料金になります。
保険会社によって同じサービスで料金が異なりますので、しっかりと比較して加入しましょう。

④海外での診察(体験談)

実際に私は北京とジュネーブで海外旅行保険を利用して診察を受けました。

北京

北京には龍頭クリニック、北京ユナイテッドファミリー病院、VISTAメディカルセンター、中日友好病院など、日本語対応可能でキャッシュレス・メディケーションを受ける事ができる病院が数多くありました。
病院の中には自宅から病院までのタクシー代の往復料金を負担してくれるところもあり非常に助かりました。
実際に4ヶ所ほどの病院に行きましたがどの病院も清潔で親切でした。
具合が悪い時に日本語で対応してもらえる事も心強かったです。
かなり気楽に病院を利用できたので生活の上で不安がありませんでした。
ただし、キャッシュレス・メディケーションだったため実際に治療費がどれぐらいだったのか当時は無頓着で金額を把握していませんでした。
貴重な参考データになったのにと反省しています。

ジュネーブ

スイスでは専門医に行く前に予約制のかかりつけ医「médicine générale (かかりつけ医)」の診察を受けます。そこで対処できる症状であれば、診療と処方箋を出され薬局で薬を購入して終了になります。
対応できなければかかりつけ医から総合病院へ紹介してもらうという形が一般的です。すぐに病院にかかれないというのがスイスのスタイルです。
私は健康だったのと「かかりつけ医システム」が面倒で病院には行きませんでした。
しかしある日、視界に黒い点が飛び回り、飛蚊症と網膜剥離を疑い24時間すぐに診てもらえる病院に行きました。
高齢の女医さんが担当で診察は全て英語でした。
軽く目を診察し「問題はない」と言われましたが目の角膜を拡大させる目薬をさされました。
診察料はCHF 80(日本円で1万円弱)です。
キャッシュレス・メディケーションではなくその場で全額を支払いました。
クレジットカードで支払おうと思いましたが「クレジットカードの決済端末が壊れている」と言われ現金で支払いました。
この時、請求書を送るので後日銀行振り込みでも構わないとも言われました。
(スイスの医療費は後日銀行振り込みが一般的です)
その後、保険会社向けに複雑な提出書類を作成し治療費が全額保障されました。
「この病院に行く前に保険会社に電話して病院の紹介を受ければよかった」
「納得できない目薬は拒否すればよかった」など今でも少し後悔しています。

⑤結論:海外療養費制度やクレジットカードがあっても海外赴任中に海外旅行保険は必要です。

日本とは物価水準も制度も違う外国での生活では生活を防衛するために海外旅行保険の加入を強くお勧めします。
サービスセンターの日本語のサポートやキャッシュレス・メディケーションは海外で生活していく上で心強い味方になります。
ご自身が赴任する国の医療費や病院の事情を事前に調べて適した保険プランに加入しましょう。

にほんブログ村 その他生活ブログへ
にほんブログ村

このサイトは豊かな資産形成の参考となる情報の提供を目的としています。
勧誘や特定保険会社への加入を推奨していません。
決定やリスク管理はご自身の判断でなさるようお願い申し上げます。

error: Content is protected !!