思いがけない大出費や盗難!それ雑損控除になるかも!

地震や台風で自宅や自家用車が破損…。
修理のために想像以上の出費が発生!
空き巣に入られて、家に置いてあった現金が盗られてしまった!
予想外の出費や損害に「とほほ…」となるのはまだ早いです。
そのお金、確定申告をしたら所定の金額が雑損控除として認められるかもしれません。
今回は「自然災害や火災、盗難、横領などによって損失があった人が受けられる控除」である雑損控除について深掘りしていきましょう。

1.雑損控除とは

出典:photo AC

災害、盗難、横領によって、雑損控除の対象になる資産の要件にあてはまる資産が損害を受けた場合に、受けられる控除です。

対象となる損害の原因

・自然災害(震災、風水害、冷害、雪害、落雷)
・人為的な災害(火事、火薬類の爆発)
・害虫などの生物による異常な災害(シロアリやスズメバチなど)
・盗難(空き巣やスリ)
・横領

対象とならない損害の原因

・詐欺
・恐喝

例えば「振り込み詐欺」などは、「自分の意志でお金を振り込んだ」と言うことで、損害を受けても控除になりません。
「恐喝」も本人の意思のもとお金が払われたと言うことで該当しません。

極端に言うと、うっかり家のカギをかけ忘れて盗難にあった場合の被害は雑損控除の対象になりますが、ナイフ脅されてお金を払った損害に対しては「自分の意志でやったよね」と税制上なんの救済措置はありません。なかなか釈然としないですね。

2.何が対象になるの?

出典:photo AC

納税者本人や家族の日常生活に必要な住宅や家財、現金など生活財産の損害が対象です。
災害が原因で家が半壊した場合の修理代や解体費用、倒壊した家の除去にかかった費用も対象となります。

3.災害、盗難、横領が原因でも雑損控除の対象にならないものもある

娯楽のために所有する別荘や投資用マンション、貴金属や書画、骨董など1個または1組の価額が30万円を超える貴金属や書画、骨董、ゴルフ会員権などが対象になりません。

対象にならないもの

・棚卸資産
・事業用固定資産等
・生活に通常必要でない資産

4.控除の対象者

資産の所有者が次の次の①と②のうちいずれかに該当する必要があります。
①納税者
②納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、該当する配偶者や親族のその年の総所得金額等が48万円以下の方
※令和元年分以前は38万円以下の方が対象です。

5.控除額の計算方法は

次の①と②のうち、金額が多い方が控除となります。

①(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
②(災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円

※「損害金額」とは、損害を受けた時の直前におけるその資産の時価を基にして計算した損害の額です。

引用:国税庁HP

5.申告に必要な書類

災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類を添付するか、提示する必要があります。
あわせて、確定申告書に雑損控除に関する事項を記載する必要があります。
給与所得のある方は給与所得の源泉徴収票も必要となります。

5.申告の有効期限は5年間

出典:photo AC

雑損控除の申告を、該当の年での確定申告のタイミングを逃しても、還付申告や更生の請求の手続きを5年前まで遡って行えます。還付申告はその年の翌年1月1日から5年間申告することができますし、更生の請求は各年分の法定申告期限(各年の翌年3月15日)から5年以内まで申告できます。

6.金額が大きい時は持ち越せる

損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。
なお繰り越しは3年間が限度です。

7.「災害減免法」もある

災害によって受けた住宅や車などの損害金額がその時価の2分の1以上で、かつ災害にあった年の所得金額の合計が1,000万円以下であれば、災害減免法の適用が認められます。

・所得金額の合計額が500万円以下:所得税の額が全額免除
・500万円を超え750万円以下:所得税の額が2分の1免除
・750万円を超え1,000万円以下:所得税の額が4分の1免除

災害減免法は1年限りの適用で、雑損控除との併用はできません。
しっかり調べて、より有利な方法で申告しましょう。

まとめ

自然災害や火災、盗難、横領などによって日常生活に必要な住宅や家財、現金など財産の損害があった時は、がっくりと肩を落としてしまうと思いますが、税制面で救済処置があります。
できれば使わずに済めば良い制度ですが、もしもの時は思い出して、しっかり申請してくださいね。

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