会社勤めをしていると「財形制度」という言葉をよく耳にしませんか?
でも「じゃあ具体的にどういう制度なの?」と説明するのは難しいですよね。
そうなんです。制度の内容が細かく決まっているので複雑なんです。
今回は「財形制度」をできるだけシンプルに解説していきます。
「財形制度」とは
出典:photo AC
正式名称は「勤労者財産形成促進制度」
正式名称を見た方が意味がわかりやすいですね。
「働く人の資産形成を促進する制度」です。
「えっ?誰が促進してくれるの?」という疑問が当然湧きますよね。
財形制度は「勤労者財産形成促進法」という法律に基づいて「会社」と「国」が「働く人」の資産形成を支援します。
要件を満たすと老後資金のための貯蓄の利息が非課税となったり、住宅購入のための融資を割安に受けられたりするなど、お得な資産形成のサポート体制を受ける事ができます。
会社にとっても、従業員の生活の安定を支援し、従業員の仕事に対するモチベーションや企業への信頼感と定着性を高め、優秀な人材確保につながりというメリットがあります。
どんな人が受けられるの?
財形制度の種類によって、年齢制限や積立期間の要件がありますが、財形制度は雇用の形態にかかわらず、会社に雇用されるすべての人を対象としています。
契約社員やパート・アルバイトのスタッフでも継続して雇用関係が見込まれて、年齢と積立期間の要件をクリアできれば利用できます。
「自分は非正規だから関係ないや」と思いこんではダメですよ〜!
制度の仕組みとお金の流れ
1.会社:財形制度の導入 ↓ 2.働く人:申し込み ↓ 3.会社:給与やボーナスから天引きし金融機関へ払い込み ↓ 4.財形制度を取り扱う金融機関で働く人の「個人の貯蓄」として積み立てます。
財形制度の種類
財形制度は大きく分けて3種類あります。
1.積み立てによる財形貯蓄制度(一般財形貯蓄・財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄) 2.住宅により財形持家融資制度(財形持家転貸融資) 3.事業主による勤労者への貯蓄奨励策の財形給付金制度・財形基金制度
では、詳しく見ていきましょう。
1.財形貯蓄制度
令和2年度末時点で財形貯蓄の契約件数は704万件、貯蓄残高で15兆6,498億円です。
財形貯蓄は目的に応じて3種類あります。それぞれの特徴を知っておきましょう。
一般財形貯蓄
積み立て:毎月の給与やボーナスから月々1,000円から積み立てできます
目的:自由 払い出しの理由:制限なし 積み立て期間:原則3年以上 払い出し:積み立て開始から一年を開始すると払い出しが可能 非課税:優遇措置なし
金利については会社が契約する金融機関の利息になります。
例えば三菱UFJ銀行だとスーパー定期(期間5年・10年)の 店頭表示利率が適応されます。
年0.002%です。
正直がっかり。あんまり旨味がない内容に感じますね。
強制的にお金を貯めたくて、ほっておきたい方にはいいかもしれません。
財形住宅貯蓄
積み立て:毎月の給与やボーナスから 目的:マイホーム取得の為の資金・工事費が75万円を超えるリフォーム代 積み立て期間:原則5年以上 非課税:財形年金制度と合わせて550万円までの利子(約20%)が非課税 年齢制限:加入時に満55歳以上の人は加入できません。
財形年金貯蓄
積み立て:毎月の給与やボーナスから 目的:60歳以降に年金として受け取ること 非課税:財形住宅貯蓄と合わせて550万円までの利子(約20%)が非課税。 年齢制限:加入時に満55歳以上の人は加入できません。
引き出しの例外
災害、疾病、寡婦(夫)になった等の理由による払い出しは、財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄ともに一定の条件を満たす場合、非課税となります。
財形持家融資制度(財形持家転貸融資)
働く人が財形貯蓄の残高に応じた融資を会社を通じて長期・低利で受けられる制度です。
令和2年度の財形持家融資の貸付決定件数は790件で貸付決定金額で13,400百万円でした。
財形持家転貸融資の要件
「独立行政法人勤労者退職金共済機構」が「財形貯蓄」を行っている働く人に対し、その貯蓄残高に応じて住宅を建設、購入又はリフォームするための資金を「事業主」を通じて融資します。
金利は、毎年1、4、7、10月に見直されます。
最新の利率: 年 0.69% (令和4年1月1日より 5年固定制)
融資対象者
・事業主 ・事業主団体 ・福利厚生会社
転貸を受けることができる要件
・1年以上継続して財形貯蓄を行っていること。 ・借入申込日の2年前の日から借入申込日までの期間内に、財形貯蓄契約に基づく定期の積立てを行っていること。 ・借入申込日において50万円以上の財形貯蓄があること
財形給付金制度、財形基金制度
財形貯蓄を利用する従業員に対する会社の貯蓄奨励策です。
いずれも事業主が規程で定めた金額を7年間拠出します。
拠出の金額は10万円が上限となります。
まず、事業主が財形貯蓄を利用する従業員を受取人として給付金契約取扱機関と契約します。
その拠出金を運用後、「元利合計額を財形貯蓄契約者毎の財形貯蓄に払い込む」または「財形貯蓄契約者個人が受け取る」という制度です。
まとめ
財形制度は、貯蓄や貸付、給付金制度など利用する人のライフスタイルに合わせてメリットのある部分を活用するといいですね。
大切なのは「自分にとって有効な制度」は何かにアンテナをはる事です。
より効率的な資産形成のために情報を取捨選択していきましょう。
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