【2021年度版 特別支出控除】自腹で払ったお金が控除される?詳しく知ろう特別支出控除

独立して事業を行う方やフリーランスの方は事業所得から仕事に必要なものに支払った費用を「必要経費」として差し引けます。
しかし会社員は必要経費が認められないというイメージを持っていませんか?
実は会社員も給与所得から差し引くことができる「特定支出控除制度」があります。
「特定支出控除として認められる」と交通費やスーツや書籍代などが税控除の対象になります。
えっ!
すごい!
服や靴代も認められるの?
でも誰も「特定支出控除制度」について話題にしていないですよね。
どうしてでしょう?
話題にならない理由としては
「知られていない」
「特定支出控除として認められるまでのハードルが高い」
という理由があります。
しかし「特定支出控除制度」は定期的に内容が見直され適用判定の基準金額上限の撤廃や対象者の範囲が広がっています。
今年度は対象にならなくとも今後の見直しで利用の範囲が広がるかもしれません。
その機会を「制度を知らない」という理由で逃すのはやめましょう。
それでは以下のポイントに注目して「特定支出控除」について深掘りしましょう。

ポイント

①特定支出控除とは?
②控除として認められる7項目
③控除として認められるために必要な手続き

①特定支出控除とは?

出典:photoAC

特定支出控除とは

会社員などの給与をもらっている人が「特定支出」として認められているものを支払った場合、その合計額が給与所得控除額の2分の1を超えるときは、その超えた部分を給与所得から差し引くことができる制度のことです。

給与所得控除額とは

給与所得控除額は収入によって異なります。

収入 給与所得控除
162.5万円以下 55万円
162.5万円をこえ180万円以下 収入×40%-10万円
180万円をこえ360万円以下 収入×30%+8万円
360万円をこえ660万円以下 収入×20%+44万円
660万円をこえ850万円以下 収入金額×10%+110万円
850万円をこえる収入 195万円

計算例①

収入が500万円で特定支出額が50万円の場合
50万円-{(500万円×20%+44万円)×1/2}=-22万円
計算の結果−22万円になり特定支出控除を受けられる金額に達していません。

計算例②

収入が1,000万円で特定支出額が300万円の場合
300万円-(195万円×1/2)=202.5万円
この場合、確定申告の際に202.5万円を特定支出控除にできます。



②控除として認められる項目

出典:photo AC

1.通勤費

通勤に使う交通機関の運賃を個人で支払っている場合、または会社からの支給額を超える場合の金額を特定支出にすることができます。
ガソリン代や有料道路の利用代金なども対象になります。

2.職務上の旅費

出張に関わる旅費を個人で支払っている場合に認められます。
しかし飛行機のファーストクラスの料金などは「客室の特別の施設の利用についての料金に該当する」と判断されるため控除の対象になりません。同様の理由で新幹線のグリーン車も対象外です。

3.転居費

転勤がわかった日から一年以内に本人や家族が支払った引っ越しにかかわる費用が認められます。
転勤地への交通機関の運賃や車のガソリン代や高速道路代、引っ越し費用が該当します。
転居のタイミングでホテルで宿泊した場合の宿泊費も条件付きで該当します。
一方で引っ越し荷物の梱包代金や荷物の損害保険は該当しません。

4.帰宅旅費

単身赴任している人が配偶者の住む家に帰る場合の旅費が該当します。
旅費と一緒で新幹線のグリーン車や飛行機のファーストクラスの利用は対象外です。

5.研修費

業務で使う技術を習得する際の研修費用を個人で支払う場合に認められます。

6.資格取得費

業務に必要な資格を得るための費用などの入学費や授業料が認められます。
簿記、英語検定、自動車免許、簿記、、弁護士、公認会計士等の資格が対象です。
会社から補助をもらわず資格試験を受ける場合には、資格や試験結果に関わらず特定支出になります。

7.勤務必要経費(図書費、衣服費、交際費)上限65万円

図書費

仕事関連の本、雑誌、新聞など

衣類費用

制服、事務服、スーツなど会社での規定で着用が必要とされている衣類の費用が認められます。
アパレルショップの定員の方が勤務中に着用する自社ブランドの服などは該当しますが、勤務中の服装規定が無く私服での勤務が慣行となっている場合、衣料の購入費用はが該当しません。

業務に関する交際費用

取引先への接待ひやお歳暮代などを個人的に支払った費用が該当します。


③手続きと必要書類

出典:photo AC

特定支出控除制度を利用するには手続きが必要です。
手続きのために書類や領収書を用意しなければいけません。
どんな手続きと書類が必要か見ていきましょう。

勤務先が発行する証明書が必要

勤務先から特定支出を認める証明書を発行してもらわなければいけません。

領収書が必要

特定支出として支払った費用について領収書が必要です。
帰宅旅費の場合には1つの交通機関の運賃が15,000円以上の場合領収書の他に「搭乗・乗車・乗船に関する証明書」も必要となります。
航空会社のカウンターや乗車した列車の車掌や降車駅の精算所などで証明書を記載してもらう必要があります。
なお、1日1,000円以下の公共交通機関の運賃には領収書は不要です。

他の給付金や補填の関係で除外される場合もある

特定支出は給与支払者から費用の補てんを一部受けています。
また補てん部分に所得税が課税されていない場合は特定支出から除外されます。
また資格取得費で教育訓練給付金や母子(父子)家庭自立支援教育訓練給付金の支給を受けている場合は特別支出該当しません。

確定申告が必須

特定支出控除を受けるためには確定申告が必須です。
年末調整では手続きできません。
忘れずに確定申告をしましょう。

必要書類

特定支出の明細書
給与支払者の証明書
特定支出の領収書等
搭乗・乗車・乗船に関する証明書
必要書類はこちらからダウンロード

まとめ

広い範囲で費用が「特定支出控除制度」の控除の対象となりますが、会社から補助が出る場合や費用が控除の対象となっても金額が小さく、結果として控除の対象ならない場合があり、制度の利用者が少ないのが現状です。
しかし制度の更なる見直しが行われ、いつか少額でも対象となる日が来るかもしれません。
今回は「特別支出控除制度」で自腹で払った費用が税控除になりえる事があるという事を覚えていただいて、領収書や家計簿の管理の際に心の片隅にとどめて置いていただければと思います。

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