2015年度税制改正で「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」
が定められました。
祖父母や父母などの直系尊属から、20歳以上50歳未満の子や孫等へ結婚・子育て資金を贈与した場合、受贈者ひとりあたり1,000万円までの贈与税が非課税となる制度です。
現時点ではこの制度の施行は2023年3月31日までとなっております。
どのような制度なのかポイントごとにチェックしていきましょう。
手続き
結婚・子育て資金口座の取り扱いのある銀行や信託銀行、証券会社で口座開設する必要があります。
口座開設
口座開設は贈与を受ける方一人当たり1金融機関、1営業所となります。
金融機関によっては口座開設料や口座管理手数料などがかかります。
金融口座によってはお金の引出しの手続きが窓口のみのところと郵送やネットで対応しているところなどさまざまです。
最長30年間取引が続きます。
転勤などで口座開設をした金融機関とお住まいの住所が遠く離れる可能性もあります。
使い勝手の良く手数料がかからない金融機関を選択する必要があります。
結婚・子育て資金に該当するもの
出典:Pixabay
(1)結婚に際して支払う次のような金銭(300万円を限度とします。)をいいます。
①挙式費用、衣装代等の婚礼(結婚披露)費用(婚姻の日の1年前の日以後に支払われるもの)
②家賃、敷金等の新居費用、転居費用(一定の期間内に支払われるもの)(2)妊娠、出産及び育児に要する次のような金銭をいいます。
①不妊治療・妊婦健診に要する費用
②分べん費等・産後ケアに要する費用
③子の医療費、幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)
引用:国税庁
払出方法
①事後申請
結婚・子育て費用を支払った後に領収書や明細書を口座を開設した金融機関に提出して引出します。領収書の支払日から1年以内の手続きが必要です。
②事前申請
支払い先の請求に応じて事前に引き出します。
引き出したお金は同じ年に請求先に支払う必要があります。
費用を支払った年の翌年の3月15日までに領収書の提出が必要です。
50才まで使いきれなかった場合
結婚・子育て資金を50才で使い切れなかった場合、残額に対して贈与税が課税されます。
受贈者が受け取る場合は贈与額から110万円を差し引いた金額が贈与税の課税対象となります。
結婚・子育て資金は特例贈与財産に該当します。
以下の税率早見表をご参考ください。
基礎控除後の課税価格
基礎控除後の課税価格 | 特例税率 | 控除額 | ||
200万円以下 | 10% | - | ||
200万円超~300万円以下 | 15% | 10万円 | ||
300万円超~400万円以下 | ||||
400万円超~600万円以下 | 20% | 30万円 | ||
600万円超~1,000万円以下 | 30% | 90万円 | ||
1,000万円超~1,500万円以下 | 40% | 190万円 | ||
1,500万円超~3,000万円以下 | 45% | 265万円 | ||
3,000万円超~4,500万円以下 | 50% | 415万円 | ||
4,500万円超~ | 55% | 640万円 |
参照:財務省HP
50才の誕生日を迎え結婚・子育て資金口座に500万円が残り贈与を受ける場合以下の計算式が適応されます。
(贈与を受けた財産の価額-基礎控除額)×税率-控除額=税額 (500万円ー110万円)×15%ー10万円=48万5千円
なんと48万5千円もの贈与税が発生します。
50才までに有効的に活用しなければいけませんね。
受贈者が50才になる前に贈与者が亡くなった場合はどうなるの?
未使用金額は贈与者の相続財産に戻されます。
まとめ
結婚・子育て資金制度は大切な財産を子どもや孫に非課税で引き継げる優れた制度です。
ぜひ活用してください。