人生の予測できないリスクを回避するために加入する保険。
しかし保険会社そのものが倒産する可能性があります。
今回は「民間保険会社が倒産したら保障はどうなるか?」
「倒産リスクの低い民間保険会社をどう選択するか?」をテーマにまとめてみました。
民間保険会社が倒産したらどうなる?
出典:photoAC
結論:加入していた保険は無くなりませんが保障は減額になります。
倒産後に2つのパターンが予想されます。
①救済会社による救済
多くの場合倒産した民間保険会社の契約は救済保険会社(その会社を合併または株式取得した他会社)によって引き継がれます。
その際保険契約者保護機構が資金援助を行います。
②保護機構による救済
もし救済会社が現れなかった場合には保険契約者保護機構が設立した子会社(承継保険会社)かまたは保護機構自らが契約を引き受けます。
保険契約者保護機構とは
保険会社が破綻した時に契約者を保護する法人です。
保険契約者保護機構には生命保険契約者保護機構と損害保険契約者保護機構があり保障内容は異なります。
保障内容
生命保険契約者保護機構 | 損害保険契約者保護機構 |
倒産時点での責任準備金 90%まで | 保険金の80%〜100% |
保護機構によって80%〜100%まで補償されることになっていますが契約者から見ると受け取る保険金はそれよりももっと削減される可能性があります。
なぜかと言うと予定利率は引き継ぎ後のものに変更されるからです。
予定利率とは保険料計算の基礎率の1つです。将来の運用収益を見越す場合の収益率です。予定利率の高い契約については予定利率を再計算して減額処理を行います。し責任準備金の減額、予定利率の変更により保険金額や解約返戻金が減額される可能性があります。
③例外 救済されない
国内の保険会社は保険機構の加入が義務づけられていますが、保険金額が少額、短期、掛け捨てで保険金上限1,000万円までの少額保険業者や共済に加入義務はありません。
少額保険業者や共済によっては保障が無く救済されない可能性があります。
倒産後の保険金の支払い
保険会社が倒産した場合でも保険契約を継続する場合には保険料を支払います。
倒産後の解約
新しい保険会社に引き継がれるまで解約できません。引き継後、一定期間内に解約した場合には早期解約控除により解約返戻金が減額される事があります。
倒産しない保険会社の選び方
保険に入る際には「倒産リスクの低い」保険会社を選択しなければいけません。
倒産リスクの低い保険会社を選ぶためにはポイントが2つあります。
それは「ソルベンシーマージン比率」と格付け機関による「格付け評価」です。
ソルベンシーマージン比率
ソルベンシーマージン比率は保険会社の保険金支払能力を見る指標です。
この数値が200%以上であれば健全性が高いと言われています。
200%未満になると金融庁から早期是正措置命令が出されます。
格付け機関による「格付け評価」
格付け会社が独自の調査方法で保険の支払財務力を調査し格付けというわかりやすい形で発表しているものです。
主な格付け会社には外資だとスタンダード&プアーズ(S&P)やムーディーズ(MJ)等があります。
日系だと日本格付研究所(JCR)が有名です。格付けを表す格付け記号は各社異なりますが長期格付けは「AAA」が最高位で、「BBB」までが「投資適格」と定めているところが多数です。
まとめ
民間保険会社が倒産したら受け取れる金額が減額したり保障内容の改悪の可能性がかなり高くなると言うことがわかりました。
「大手だから」
「CMでよく見るから」
「保険会社の担当の人が親切だから」
「親がその保険会社に加入しているから」という理由で安易に加入してはいけません。
信頼できる指標を参考に倒産リスクの低い保険会社を自分の目と価値観でしっかり選んで検討しましょう。
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