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【海外赴任】どうする確定申告?

海外赴任になったら確定申告はどうすればいいのでしょうか?
結論から申し上げますと「確定申告をしなければいけない人」も「確定申告をしたい人」も日本国内にいる代理人を「納税管理人」に選出して税務署に申告しなければいけません。海外駐在中は納税管理人が確定申告をします。
そして、出国する年の1月1日から出国する日までに得た所得に対して、準確定申告をする必要があります。
「えっ!面倒くさい!」
「納税管理人って誰にすればいいの?」
「出国までに確定申告をやらなければいけないの?」
正直そんな気持ちになると思います。
でも、実際には必要な書類を出すだけなので、「案ずるより産むが易し」です。
それでは必要な事を一つずつ見ていきましょう。

1.外国にいるのに確定申告をしなければいけない人って?

任期が1年以上の海外勤務者の方は日本国内において非居住者となります。
非居住者の方で日本国内で獲得した国内源泉所得がある方は確定申告をしなければいけません。
具体例を1つあげるますと、日本国内に所有する持ち家やマンションを貸していて、賃料などの不動産所得のある方などが該当します。
国内源泉所得は以下の15種類あります。

(1) 恒久的施設帰属所得、国内にある資産の運用または保有により生ずる所得、国内にある資産の譲渡により生ずる所得
(2) 組合契約等に基づいて恒久的施設を通じて行う事業から生ずる利益で、その組合契約に基づいて配分を受けるもののうち一定のもの
(3) 国内にある土地、土地の上に存する権利、建物および建物の附属設備または構築物の譲渡による対価
(4) 国内で行う人的役務の提供を事業とする者の、その人的役務の提供に係る対価
例えば、映画俳優、音楽家等の芸能人、職業運動家、弁護士、公認会計士等の自由職業者または科学技術、経営管理等の専門的知識や技能を持つ人の役務を提供したことによる対価がこれに当たります。
(5) 国内にある不動産や不動産の上に存する権利等の貸付けにより受け取る対価
(6) 日本の国債、地方債、内国法人の発行した社債の利子、外国法人が発行する債券の利子のうち恒久的施設を通じて行う事業に係るもの、国内の営業所に預けられた預貯金の利子等
(7) 内国法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配等
(8) 国内で業務を行う者に貸し付けた貸付金の利子で国内業務に係るもの
(9) 国内で業務を行う者から受ける工業所有権等の使用料、またはその譲渡の対価、著作権の使用料またはその譲渡の対価、機械装置等の使用料で国内業務に係るもの
(10) 給与、賞与、人的役務の提供に対する報酬のうち国内において行う勤務、人的役務の提供に基因するもの、公的年金、退職手当等のうち居住者期間に行った勤務等に基因するもの
(11) 国内で行う事業の広告宣伝のための賞金品
(12) 国内にある営業所等を通じて締結した保険契約等に基づく年金等
(13) 国内にある営業所等が受け入れた定期積金の給付補てん金等
(14) 国内において事業を行う者に対する出資につき、匿名組合契約等に基づく利益の分配
(15) その他の国内源泉所得

引用:国税庁

2.確定申告したい人はどうする?

「源泉徴収された所得税の還付を受けたい方」や「日本にいた時のように確定申告をしたい方」納税管理人を選出することで確定申告をすることができます。
ただし、還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。
海外赴任の期間が5年以内の方で、確定申告の必要がないけれど、確定申告をしたい方は納税管理人を選出せずに、帰国後に還付の手続きをすればOKです。

3.納税管理人の選出とは?

納税管理人とは海外赴任をする本人に代わり確定申告書の提出、書類の受け取り、税金の納付や還付金受領など、代理で納税義務を果たす人です。
納税管理人では個人でも法人でも選出できます。家族や知人、税理士などですね。
納税管理人の選出の手続きの方法は書類を出すだけです。手続きに手数料などはかかりません。
所轄の税務署に所得税・消費税の納税管理人の届出書とマイナンバーカードの写しなど、海外赴任をする本人の確認ができる書類を郵送するか、窓口で提出するだけです。
また、国税庁の公式HPからダウンロードできる届書にはところどころ黄色の吹き出しがあり、印刷するとそのまま出てくるのですが、税務署に確認したところ、印刷で出てしまうのは仕方がないので気にしなくても良いとのことでした。

4.出国前の確定申告について

出国前にその年の1月1日から出国日までの所得について準確定申告をしなければいけません。
税務署に確認したところ、国税庁 確定申告書等作成コーナーの「印刷して作成」の機能を利用して作成すると、画面の案内に従って金額等を入力することにより、税額などが自動計算され、所得税、消費税の申告書や青色決算書などを作成できます。
印刷後、前年の令和◯年度と印刷されている部分を手書きで消して、出国する年の年度を書き込めば良いとのことでした。
そして、この申告はあくまでも準確定申告なので、出国した翌年2月16日から3月15日までの間に納税管理人を通じて、居住者期間に生じたすべての所得と非居住者期間に生じた国内源泉所得との合計額について、確定申告および納税をする必要があります。
つまり出国する場合、「出国する日までの所得に対する準確定申告」と「出国前と出国後の所得の合計した所得に対する本番の確定申告」と2回申告しなければいけません。
ちなみに、その年の1月1日から出国までの確定申告ですが、その年の途中ですが、書類が受理された後申告が認められると約1ヶ月半後に還付されます。
苦労した分だけ、還付といういう形で払い過ぎた税金が返ってくるパターンもありますので、大変だけど、大事なことなのでがんばりましょう。

まとめ

・1年以上の海外赴任の方は非居住者になります。
・非居住者の方で不動産所得などの国内源泉所得がある方は確定申告が必要です。
・確定申告が必要な方は日本国内にいる代理人を「納税管理人」に選出する必要があります。
・海外赴任の任期が5年以内で、確定申告する必要がなくても、還付申告をしたい方は帰国後に申告すれば、5年分の還付申告を行うことができます。
・出国する年の1月1日から出国する日までの所得に対し、準確定申告が必要です。
・出国した年の翌年翌年2月16日から3月15日までの間、その年の全ての所得に対する納税管理人による確定申告が必要になります。
・この情報は2022年5月15日時点の情報になります。手続きにつきましては必ず所轄の税務署にご確認ください。

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