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【年末年始の読書におすすめ】漫画『狼と香辛料』

『狼と香辛料』は支倉凍砂さんのライトノベルです。
旅する商人クラフト・ロレンスと狼の耳と尻尾を持つ美少女ホロの物語で、漫画家、アニメ化、ゲーム化もしている大人気作です。
年末年始はリラックスして楽しんで欲しいので、ここでは敢えて漫画版をおすすめします。
「原作がライトノベル」「獣と耳と尻尾を持つ美少女がでてくるファンタジー」ということで「自分の読むジャンルじゃないな」と敬遠されてしまう方もいるかもしれません。
実際私も中世ヨーロッパの世界観なのにヒロインの一人称が「わっち」なのが最初気になりました。
しかし話の軸は骨太の経済本です。
お話の展開もスピーディーでとにかくおもしろく「わっち」が気になっていた自分は速攻でどこかにいきました。
主人公2人の行く手を阻む数々の問題を解決するのは魔法や妖精ではなく、本人たちの経済の知識や知恵と度胸であるところが見所のまさかの「経済ファンタジー」なんです。
一味違ったファンタジーの世界に浸って、年末年始にリフレッシュしてください。
あと、ヒロインが気高くてかわいいのもポイント高いです。

『狼と香辛料』の中から学べる貨幣経済

 

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付加価値をつけてものを売る

物語のはじまりの部分で、浮世離れした人外かと思っていたヒロインのホロが商売人としての手腕を発揮する、痛快な「テンの毛皮売り」のシーンがあります。
良い品であるのは当たり前、それならいかに付加価値をつけて高く売り捌くかと、機転と度胸に唸らされる交渉シーンです。

数種類の貨幣

『狼と香辛料』の世界では複数の貨幣が存在し、商品の支払いが「どの貨幣」で支払われるかが交渉の中で重要になります。
同じ貨幣であっても摩耗具合や発行時期によって相場が変動したり、地域によって貨幣の信用性が異なるなど、かなりリアルな設定になっています。

為替の制度

商人のロレンスが商会で塩を購入した際、お金を支払わないというシーンがあります。お金を支払わなかった理由は別の町にある同じ商会の支店で、ほぼ同額の麦を売っていたからです。「麦を売った代金」を為替として「塩を買った代金」を相殺し受け渡しを済ませる方法をとっています。

信用売り

作中のクメルスンの街で起こる「黄鉄鉱」の高騰。
あまり価値がなかったものが、風評によって、大きな価値を持っていく様がリアルです。
主人公のロレンス「信用売り」をライバルにけしかけ、その後黄鉄鉱の暴落を引き起こすことを狙い、ライバルが利益を得ることを阻みます。
まさかファンタジーの世界に信用売りがでてくるなんて!
なかなか難しい信用売りの概念をスピード感のある物語を通じて自然と理解することができます。

まとめ

王道のファンタジーでボーイミーツガールの甘い展開もありながら経済や商売が軸になっている異色作『狼と香辛料』
何よりも主人公たちが、困難に対し、自分で判断し行動するしなやかな逞しさが魅力的な作品です。
物語に没頭するのもよし、経済盆として読むのよしの名作です。
原作小説や漫画以外にも『狼と香辛料』で面白いほどわかるお金のしくみ』 がでていますのでそちらもおすすめです。

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